「足が多くてバランスが取れない」「吸盤を描くとグロテスクになる」——そんな悩みを抱える人は多い。しかし、構造を簡略化すれば誰でも短時間で洗練されたモチーフを描き上げることができる。プロが実践するアプローチは至ってシンプルだ。
かわいいキャラクター表現を目指すなら、頭部(正確には外套膜)を極端な丸型またはドーム型にデフォルメすることから始めよう。目の位置は下寄りに配置し、大きな黒目の中に小さな光をひとつ残す。8本の足はすべて描く必要はない。前面に見える4本〜5本だけをゆるやかなS字カーブで描けば、全体の重たさが消え、愛らしいシルエットが完成する。
一方で、リアルで重厚な質感を表現したい場合は、質感の「コントラスト」が鍵を握る。足の裏側に並ぶ吸盤は遠近感を意識し、根元を太く先に向かって徐々に小さく配置する。仕上げに光沢感を出すため、ハイライトの白を境界線沿いに走らせると、濡れた皮膜のなめらかさが一気に際立つ。このメリハリこそが、素人っぽさを払拭するプロの秘訣だ。