プロメテウス(「先見の明を持つ者」の意)は、弟のエピメテウス(「後から考える者」の意)に対し、「ゼウスからの贈り物は災いのもとだから絶対に受け取るな」と固く忠告していました。しかし、パンドラの圧倒的な美しさに魅了されたエピメテウスは、兄の警告を忘れ、彼女を妻として迎え入れてしまいます。
人間界で暮らし始めたパンドラでしたが、手元にある容器の存在が頭から離れません。「絶対に中を見てはならない」と厳命されていた事実そのものが、ヘルメスから植え付けられた彼女の抑えがたい好奇心を刺激し続けました。
葛藤の末、彼女は「少し中を覗くだけなら」と蓋を持ち上げてしまいます。その瞬間、密閉されていた病気、飢餓、狂気、嫉妬、労苦といったあらゆる悪徳と災難が、黒い霧のように噴き出し、瞬く間に世界中へと拡散していきました。パンドラが箱を開けた行為は単なる不注意ではなく、神々の設計通りの結末だったといえます。