『ロングバケーション』がこれほどの数値を記録した背景には、当時の時代背景と完璧に合致した制作陣の鋭い洞察力がありました。バブル崩壊後の先行きが見えない不安な空気感のなか、脚本家・北川悦吏子氏が描いた「人生がうまくいかないときは、神様がくれた長い休暇だと思えばいい」というメッセージは、焦りを抱える若者たちの心へ深く刺さったのです。
放送当時は「月曜の夜はOLが街から消える」とニュースやワイドショーで大々的に報じられました。飲食店やブティックが月曜21時前後に閑散とし、レンタルビデオ店の貸出数が激減するなど、実社会の経済動向にまで影響を及ぼした「ロンバケ現象」は社会問題に近い熱狂を帯びていました。
さらに、木村拓哉さん演じるピアニスト・瀬名秀俊の影響で、成人男性がピアノ教室に殺到する「ピアノ男子ブーム」が勃発。劇中で南(山口智子さん)が着用したカジュアルなファッションやエスニック調のアクセサリー、アパートの部屋に置かれたインテリア雑貨までが瞬く間に完売するなど、ドラマがトレンドの発信源そのものとなっていました。