映画『女の機嫌の直し方』で見せたような、コミカルでありながらどこか哀愁を漂わせるキャラクター表現は、かつてから彼の得意とするところだった。場をなごませるポップな佇まいと、ふとした瞬間に見せる狂気や切なさ。その振れ幅の広さこそが、彼の役者としての天性と言える。
映像作品で見せてきた軽妙なセンスは、舞台での経験を経たことでさらに洗練され、深みを増した。過去の代表作で魅せた天性の存在感に、舞台で培った圧倒的な間(ま)と声量、心理描写の精度が加わったことで、表現者としてのアプローチはより多層的で深遠なものへと進化を遂げている。