夏八木を襲った膵臓がんは、初期自覚症状がほとんどなく、発見された時にはすでに進行していることが多い「暗殺者」とも呼ばれる病だ。彼にがんが見つかったのは2012年秋のこと。すでに他の臓器への転移も見られ、手術による根治は難しい状態だったという。
しかし、彼は治療を受けながらも仕事を休むことはしなかった。それどころか、映画『永遠の0』や『家路』といった話題作の撮影に次々と臨んだ。激しい痛みや抗がん剤の副作用に耐えながら、カメラが回れば一瞬で「役の人物」へと変貌する。その姿は、現場のスタッフさえも彼が重病を患っているとは夢にも思わないほど、完璧なものだった。