SNSや美容掲示板で頻繁に交わされる「リッププランパーを使うと唇が荒れる」という証言。これは単なる個人の感想にとどまらず、唇特有の皮膚生理学的な脆弱性に深く根ざしています。
そもそも唇(口唇部)は、通常の皮膚と異なり皮脂腺や汗腺がほとんど存在せず、皮脂膜による自前のバリア機能を形成できません。さらに角層の厚さは頬の皮膚の約3分の1程度しかなく、水分を保持する能力が極めて低い部位です。そのような無防備な粘膜移行部にカプサイシンや揮発性のメントール、精油成分などの刺激物質を頻繁に塗布すれば、バリア機能が容易に破壊され、刺激性接触皮膚炎(いわゆるかぶれ)を引き起こすのは必然と言えます。
特に注意すべきは、刺激を「効いている証拠」と誤認して使い続けるケースです。微細な充血にとどまらず、皮剥け、赤み、持続的なヒリヒリ感、水疱のようなぶつぶつが生じた場合、それはプランプ効果ではなく明確な炎症反応です。アトピー素因を持つ方や、季節の変わり目で乾燥が進んでいる時期は、刺激成分がアレルゲンとなってアレルギー性接触皮膚炎へ移行する危険性も孕んでいます。