テーブルに丼が運ばれてきた瞬間、誰もが言葉を失う。一般的なラーメンのスープといえば、液体に麺が泳いでいる状態を連想するだろう。しかし、ここでの常識は一切通用しない。まるで泥かカレーのルーかのような質感を呈する漆黒のスープ。その中央にそっとレンゲを刺すと、手を離してもレンゲが倒れることなくまっすぐに立ち続ける。
この驚異的な粘度の秘密は、膨大な量の豚骨を骨の髄まで溶かし尽くすまで煮詰め続ける狂気的な仕込み工程にある。仕込みの段階で余分な水分は徹底的に飛んでおり、スープというよりは豚骨のエキスそのものを凝縮したペーストに近い。口に含むと、ザラッとした骨の粒子感とともに、圧倒的な旨味の濁流が押し寄せる。重厚でありながら不思議と臭みは抑えられており、一度この濃密さにハマると抜け出せなくなるファンが後を絶たない。