教義や日常の礼拝において、両者には具体的な違いが存在する。スンニ派は預言者の言行録(スンナ)と共同体の合意を重視し、礼拝の際には手を腹の前で組むのが一般的だ。一方、シーア派はイマームの権威を重んじ、礼拝時には額を「トゥルバ」と呼ばれる粘土の板につけて祈る。また、礼拝の回数もスンニ派が厳格に1日5回分けるのに対し、シーア派は一部をまとめて1日3回に集約することが許容されている。
しかし、これらは信仰の表現方法の違いに過ぎない。どちらも一神教としての「アッラー」を信じ、聖典コーランを奉じ、聖地メッカを目指す点では完全に一致している。対立の本質は神学論争ではなく、常にそれを政治利用する権力者たちの思惑にある。