では、ポニョ都市伝説の真相についてスタジオジブリ側はどう答えているのでしょうか。ジブリ公式の解説と否定、そして宮崎駿の公式見解を検証すると、非常に奥深い事実が見えてきます。
スタジオジブリは過去の公式イベントやメディア取材において、「登場人物が全員死亡しているというオカルト的な裏設定はない」と明確に否定しています。『となりのトトロ』の「サツキとメイ死亡説」と同様、作品を恐怖映画として消費するネット上の短絡的な解釈に対しては一線を引いています。
しかし極めて興味深いのは、映画完成当時の特番(NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』密着取材など)や自著において、宮崎駿監督自身が語った言葉です。監督は制作中、以下のような趣旨の告白を残しています。
「この映画では、生と死、人間と異界の境目をなくそうとした」
「海の下に沈んだ町は、死の世界とも言えるし、生命の始まりの場所とも言える」
宮崎監督にとって、水没した世界は陰惨な「死者の国」ではなく、約4億年前のデボン紀のように生命が混沌としていた太古の海そのものです。生死を厳格に切り離す近代的な世界観を解体し、生も死も包摂した生命の循環を描くことこそが監督の意図でした。つまり、「全員死亡説」という言葉は字面通りには誤りであるものの、「生と死の境界が消失した世界を描いている」という点においては、宮崎駿の真意を突いていたと言えます。