ワンクリックであらゆるものが翌日届くデジタル全盛の時代に、なぜ人々はわざわざ松屋町に足を運ぶのでしょうか。流通社会学の視座から見ると、松屋町が提供しているのは単なる「安価な商品」ではなく、「偶発的な発見と現物を通じた身体的納得感」です。
ECサイトのアルゴリズムは、ユーザーの過去の行動履歴に基づいた「最適化された選択肢」しか提示しません。しかし松屋町の店頭には、普段の生活では視界に入らない珍妙な駄菓子、職人が手作業で張り合わせた甲冑の光沢、何百種類もの花火の火薬配合の違いが物理的な塊として迫ってきます。商品を手に取り、店主の無骨な解説を聞き、重さを確かめて買うというプロセスそのものが、失われつつある「市場(いちば)の原体験」を私たちに提供しています。
とはいえ、全ての人にとって最適な買い場というわけではありません。以下の判断基準を参考に、自身の目的と照らし合わせてみてください。
松屋町筋商店街が「向いている人」
- イベントや行事のまとめ買いをしたい人:子ども会、学園祭、会社のレクリエーション、結婚式の二次会景品など、数十〜数百人分の物資を低予算で調達したい幹事。
- 本物の品質を納得の価格で選びたい人:雛人形や五月人形など、一生モノの伝統工芸品を中間マージンなしの適正価格でプロのアドバイスを受けながら選びたい人。
- レトロな空気感と「宝探し」を楽しめる人:整然とした陳列よりも、積み上がった箱の山から掘り出し物を見つけ出す時間にワクワクする人。
松屋町筋商店街へ行くのに「慎重になるべき人」
- 完全な手ぶら・完全キャッシュレスで買い物を完結させたい人:小銭や現金のやり取りがストレスになる人や、重い荷物を持ち帰りたくない人。
- 1個単位の単品を至れり尽くせりの接客で購入したい人:数十円〜数百円のアイテムを百貨店のようなホスピタリティで買いたい場合、問屋特有の素っ気なさに不満を感じるリスクがあります。
- 平日の夕方以降や夜間にしか時間が取れない人:17時を過ぎると大半の店舗が店じまいを始めるため、仕事帰りの買い物には不向きです。