テレビタレントとしての陽気なイメージが強いムツゴロウさんですが、その本質は東京大学理学部を卒業した筋金入りの動物学者であり、日本エッセイスト・クラブ賞や菊池寛賞を受賞した傑出した文学者でした。
1935年に福岡県で生まれた畑正憲氏は、少年期を満州で過ごし、引き揚げ後は大分県日田市で大自然に親しみながら育ちました。東京大学大学院修士課程を修了後、学習研究社(現・Gakken)の映画部に勤務して記録映画の制作に携わりますが、管理社会に馴染めず独立。文筆活動を開始し、1968年に『われにしあれば』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞して作家としての地位を確立しました。
都会の暮らしを捨て、自らの理想郷を求めて1971年に北海道へ移住。当初は道東の剣淵町や厚岸郡浜中町の無人島・嶮暮帰島(けんぼっきとう)でヒグマの「どんべえ」をはじめとする動物たちと共同生活をスタートさせます。その後、中標津町に拠点を移して「ムツゴロウ動物王国」を開拓しました。1980年にスタートしたフジテレビ系特番『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』は最高視聴率30%超を叩き出すメガヒットとなり、国民的な動物ブームの先駆者となりました。