一口にマグロ漁船と言っても、操業する海域と船の規模によって「沿岸」「近海」「遠洋」の3つに明確に分かれます。私たちが一般的にイメージする巨大な船で地球の裏側まで行くのは遠洋マグロ延縄(はえなわ)漁船です。
遠洋漁船の場合、基地港を出港してから帰港するまでの航海期間は10ヶ月から1年半以上に及びます。太平洋、インド洋、大西洋などの公海を舞台に、数百本の釣り針をつけた全長100キロメートル以上にも及ぶ幹縄を海に投入する「投縄(とうなわ)」、数時間後に巻き上げる「揚縄(あげなわ)」を繰り返すのが基本サイクルです。
釣り上げられたマグロは、鮮度を保つために即座にエラや内臓を処理(血抜き・解体)され、船底の超低温冷凍庫(マイナス60度以下)へ格納されます。この一連の作業は昼夜を問わず行われ、マグロの群れに当たった日は10時間を超えるハードな連続作業になることも珍しくありません。揺れる甲板上での重労働、鋭利な針やノコギリを扱う作業には常に危険が伴い、強靭な体力と集中力が求められます。