このCMが世に送り出されたのは、昭和の終わりを迎える1984年(昭和59年)のことです。当時、日本の広告界で圧倒的な異彩を放っていた電通関西支社のクリエイティブチームが企画を手掛けました。
画面に登場するのは、果てしなく広がる白銀の雪原を、寒そうに身をすくめながらトボトボと歩く1羽の小さなペンギン(パペット人形)でした。極寒の地で暮らすはずのペンギンが「寒くてたまらない」とぼやくシュールな逆転の発想と、その痛々しいほど愛らしい姿は、瞬く間にお茶の間の視線を釘付けにしました。
そして、このペンギンの切なくも愛嬌たっぷりな声を担当していたのが、のちに国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』のまる子役として広く愛されることになる声優・TARAKO氏です。
TARAKO氏特有の少しハスキーで独特な鼻にかかる声質が、極寒の孤独感と子どもの甘え声を絶妙なバランスで表現し、視聴者の庇護欲を強烈に刺激しました。当時の関係者インタビューや証言によると、スタジオ収録では「寒さで震えながらも、どこか憎めない愛嬌」を出すためにミリ単位の声のトーン調整が繰り返されたと記録されています。
結果として、このフレーズは同年の流行語として列島を駆け巡り、学校のグラウンドやオフィス街の路上で、寒さに震える人々がこぞって「ちゃっぷい、ちゃっぷい」と口ずさむ社会現象を巻き起こしました。