手作りドーナツに対する最大の不満点として挙げられるのが「油を吸いすぎて胃もたれする」「ベチャッとした口当たりになる」という問題です。ドーナツが油を吸ってしまうメカニズムは、油の温度低下と生地内外の圧力差に起因します。
油っこくならない揚げ方を実現するためには、以下の3つの鉄則を厳格に守る必要があります。
第一に、「油の温度は160〜170℃の中低温」をキープすることです。温度が高すぎると中心のあんこが温まる前に表面が焦げ付き、低すぎると生地がスポンジのように油を吸い上げます。菜箸を入れた際に、箸先全体から細かな泡が静かに出てくる状態が165℃前後の目安です。
第二に、「一度に鍋に入れる個数は2〜3個まで」に抑えることです。冷たい生地を大量に投入すると油の温度が一気に20℃以上低下し、急激な吸油を引き起こします。
第三に、最も重要なのが「引き上げ直前の10秒ルール」です。きつね色に揚がったら、油から取り出す直前の10秒間だけ火力を少し強め、油の温度を約175℃まで上げます。生地内部の蒸気圧が高まり、外へ向かう蒸気の勢いで表面の油を弾き飛ばす「キレ」が生まれます。油切り網に乗せる際も、接地面を最小にするため斜めに立てて置くことで、余分な油が重力でスムーズに落ちていきます。