本作の最大の魅力は、緻密に計算された6人の関係性です。誰が誰と繋がり、どのような感情を抱いているのかを整理すると、物語の構造がすっきりと見えてきます。
瑛理(えり):料理研究家
夫・桂のモラハラ的な態度に耐えかね、秀己と不倫関係を結ぶ。外面的には成功者でありながら、自己肯定感の低さと深い空虚さに苛まれている本作の主軸となる女性。
桂(けい):瑛理の夫・弁護士
優秀で容姿端麗な敏腕弁護士。完璧主義で潔癖な性格ゆえに、妻を無意識にコントロールしようとする。感情を排した冷徹な態度を取るが、内面には強い独占欲と歪んだ愛情を秘めている。
秀己(ひでみ):瑛理の不倫相手
無気力で定職に就かず、日々の刺激に流されて生きる青年。同棲相手の由依を愛していながらも、年上の瑛理との逢瀬を断ち切れない優柔不断さを持つ。
由依(ゆい):ファッション誌ライター・秀己の恋人
仕事も恋愛も全力で取り組むが、情緒が極めて不安定。秀己の不倫に勘づきながら、自らも精神的バランスを保つためにバー店主の八雲と肉体関係を持つ。
八雲(やくも):バー店主・瑛理の友人
物腰が柔らかく聞き上手なため、女性が自然と心を開いてしまう色気を持つ男。由依と浮気関係にあるが、深入りはせずどこか醒めた視線を保っている。
真奈美(まなみ):八雲の妻
夫の浮気癖をすべて把握した上で、家庭の平穏と生活を淡々と守り続ける女性。一見すると冷徹に見えるが、誰よりも現実的な強さとしなやかさを備えている。
一見バラバラに見える6人は、夫婦関係・愛人関係・友人関係という縦横の糸で複雑に結びついており、ひとりの行動がドミノ倒しのように全員の運命を狂わせていきます。