「パチパチパンチ」――そのシンプルな響きとは裏腹に、誕生の裏には身体ひとつで生き抜く覚悟があった。ボクシング界から転身し、舞台に立った当初、彼はセリフのやり取りに苦戦を強いられた。言葉で笑いを取るベテランたちの中で、いかに己の存在を示すか。追い込まれた彼が土壇場で編み出したのが、胸を素手で叩くインパクト抜群のパフォーマンスだった。
「大阪名物パチパチパンチや!」と叫び、自身の胸板を激しく打ち鳴らす姿は、劇場の音響マイクが拾う生々しい打撃音とともに観客の度肝を抜いた。理屈抜きで笑える体当たりのコメディスタイルは、子どもから高齢者まで一瞬で虜にした。一見力任せに見えるこのギャグも、実は叩くリズムや角度、声の張りに至るまで徹底的に研究されていたという。身体を極限まで張る姿勢こそが、彼を唯一無二の存在へと押し上げた原動力だった。