世間一般には「あややのものまね芸人」というイメージが強烈ですが、前田健さんの本質は傑出した総合表現者・クリエイターでした。
10代で単身ニューヨークへ渡り、本場のブロードウェイでダンスと歌唱の本格的な英才教育を受けたマエケンさんは、卓越した振付師としての才能を発揮しました。その代表例が、国民的アニメ『プリキュア』シリーズ(『フレッシュプリキュア!』など)のエンディングダンス振付です。子どもたちが夢中で真似できるキャッチーさと、プロのダンサーを唸らせる高度なリズム理論を融合させた演出は、同シリーズの代名詞として定着しました。
さらに2011年には、自身の小説『それでも花は咲いていく』を原作とし、自らメガホンを取って商業映画の監督デビューを果たしています。人間の孤独やセクシュアリティの葛藤、生きづらさを抱える人々の機微を繊細に描き出した同作は、バラエティで見せる陽気な笑顔の裏にあった、彼の深く知的な人間観察力を証明するものでした。