そもそも、この奇怪な言葉の元ネタはどこから来たのか。時計の針を少し巻き戻す必要がある。かつて経営危機に陥っていた日産自動車を強烈なコストカットで再建し、仏ルノーとのアライアンスを率いた伝説の経営者、カルロス・ゴーン氏。彼が2019年末に見せた密入国出国劇は、世界中を驚愕させた。
楽器箱に隠れてプライベートジェットでレバノンへ逃亡したという映画のような事件は、時を経てネット掲示板やSNSで語り継がれるうちに、原型をとどめないインターネット・ミームへと変貌を遂げた。名前の語尾を伸ばした「ゴーンヌ」という言い回しは、何かが突如として消え去る様子や、理不尽な事態から強引に脱出するシュールな状況を指すネットスラングとして一人歩きを始めたのである。