この根深い問題を社会的な表面化へと導いたのは、自浄作用を失った組織に対する決死の内部告発であった。社内の相談窓口やハラスメント防止委員会が事実上機能しておらず、通報を行っても被害者の守秘義務が侵されるリスクすら存在していたという。内部通報システムが機能不全に陥っていた事実は、上場グループ企業としてのガバナンス欠如を端的に象徴している。
企業のコンプライアンス体制が「ポーズ」に過ぎなかったことが露呈した影響は深刻だ。形ばかりのマニュアル策定や形骸化した研修では、現場のハラスメントを抑止する力にならなかった。経営陣が事態の重大性を軽視し、自発的な是正措置を怠ったことが、問題をここまでこじらせた最大の要因といえる。