この契約構造には、スポーツビジネス界を震撼させたもう一つの極めて現実的な思惑が潜んでいる。それが全米屈指の高課税地域であるカリフォルニア州の州所得税対策だ。
カリフォルニア州の最高税率は13.3%に達する。もし現役時代に年間7000万ドルをストレートに受け取っていれば、膨大な税金が州財務局へと吸い上げられていたはずだ。しかし、連邦法(4 U.S.C. § 114)の規定により、10年以上にわたって支払われる退職金的後払い報酬は、受給時に居住している州で課税される仕組みになっている。仮に大谷がドジャースとの契約を満了した2034年以降に、州所得税が存在しないフロリダ州やテキサス州、あるいは日本へ拠点を移した場合、カリフォルニア州への巨額な税務義務を合理的に回避できる可能性がある。節税効果だけでも数千万ドル単位に上る試算だ。