『ブリキノダンス』の歌詞を理解する上で最大の壁となるのが、日常会話ではまず耳にすることのない宗教用語や古代インドの概念です。ここでは、特に重要なキーワードの読み方(ふりがな)と本来の意味を整理します。
冒頭から登場する「アヴァターラ(Avatāra)」はサンスクリット語で「神の化身・権現」を意味し、ヒンドゥー教の最高神ヴィシュヌが地上を救うために姿を変えて降臨することを指します。また、「マントラ」は真言(仏や神に対する賛歌・呪文)、「デーヴァナーガリー」はサンスクリット語などを表記する際に用いられる古代インド発祥の文字体系です。
さらに、サビ前で強烈なインパクトを残す「さあ、憐(あわ)れんで、連動(れんどう)せよ」というフレーズ。「憐れむ」という情動的な仏教的慈悲のニュアンスと、「連動する」という無機質な機械的動作が接続されることで、人間性を喪失した存在が上位の命令に従属していく不気味なトランス状態を鮮やかに描き出しています。
ほかにも「チャクラ(体内エネルギーの結節点)」「阿夫利(あふり/神奈川県の大山阿夫利神社や雨降山に由来する霊場信仰)」「修羅道(六道の一つで争いの絶えない世界)」など、多様な宗教的メタファーが散りばめられており、単なる言葉遊びを超えた重層的な言霊の響きを形成しています。