では、実際にアパレル業界で年収を上げた人は、どのようなキャリアを歩んでいるのか。SNSや転職口コミサイト、業界関係者への取材から見えてきた共通点を整理する。
まず目立つのは、販売職からバイヤーやMDへの転身だ。店舗で培った顧客理解と商品知識を武器に、本部職へ異動することで年収が100万〜200万円上がるケースが多い。ある30代女性は「販売員時代は年収320万円でしたが、バイヤーに転身後は550万円になりました。店頭の経験が仕入れの判断に直結するので、無駄ではなかった」と語る。
次に、EC・デジタル領域へのスキルシフトも有力なルートだ。アパレル企業がD2C(直接消費者向け)モデルを強化する中、ECサイトの運営やSNSマーケティングを担える人材の価値は急上昇している。未経験から独学でWebマーケティングを学び、社内公募でEC部門に異動した20代男性は「年収が280万円から420万円に上がった。アパレルの知識とデジタルのスキルは掛け算になる」と話す。
一方で、現場からは厳しい声も聞こえる。「店舗ではどんなに売っても時給が上がるだけ」「昇進しても残業代が減って手取りが変わらない」といった不満は根強い。特に中小アパレル企業では、評価制度が形骸化しているケースもあり、転職を繰り返すことでしか年収が上がらないという現実も存在する。
注目すべきは、ラグジュアリーブランドや外資系企業への転職だ。外資系アパレルは基本給が高く、インセンティブも明確なため、同じ販売職でも年収600万円以上を狙える。ただし、語学力や接客の専門性が求められるため、誰もが簡単に到達できる道ではない。