心肺停止に陥った倒れた女性を目前にしたとき、男性が感じるプレッシャーは想像以上に大きい。胸部を露出させることへの心理的抵抗、周囲からの冷ややかな視線、そして「助けた後に人生が狂うかもしれない」という痴漢冤罪・法的責任への恐怖。これらが重くのしかかり、一瞬の判断の遅れを生み出してしまう。
心臓が停止してから電気ショックを与えるまでの時間が1分遅れるごとに、救命率は約7~10%低下すると言われている。現場に居合わせた一般市民の躊躇は、文字通り命の選択に直結する。善意で行動した人間が不利益を被るのではないかという疑心暗鬼が、救出の現場に深い溝を作り出しているのだ。