烏丸通の路地裏に佇む老舗喫茶店。ガラガラと引き戸を開けると、香ばしいバターの匂いとネルドリップコーヒーの濃密な香りが鼻腔をくすぐる。京都の朝を語るうえで、喫茶店文化を外すことはできない。分厚くスライスされた食パンに惜しみなく塗られた自家製小倉餡と塩気のある発酵バター。一口かじれば、サクッとした歯ごたえの後にふわっと広がる小麦の甘みが身体を突き抜ける。
最近の流行は、昭和から続く伝統のレシピに2026年らしい素材のこだわりを掛け合わせた「フュージョンスタイル」だ。創業70年を超える名店が、地元の上賀茂で採れた旬のイチゴを使った自家製ジャムを添えたり、京都産ミルクのみで作る贅沢なカフェオレをセットで提供したりと、温故知新の工夫を凝らしている。常連の老夫婦が新聞をめくる音と、観光客の歓声が心地よく調和する空間。そこには、時代を超えて愛される京都の日常が息づいている。