2階の屋外テラスに身を包み、道行く人々を鋭い眼光で見守る宇宙服を着た巨大な猫。現代美術家・ヤノベケンジの手による《SHIP’S CAT (Crew no.31)》だ。かつて大航海時代に船乗りの守り神として愛された猫をモチーフにしたこの作品は、いまやエリア全体のアイコンとして完全に定着した。
単なる写真映えを狙ったパブリックアートとは一線を画す。不確実性の高まる現代社会において、旅立ちと安全を祈願するその佇まいは、訪れる人々に静かな勇気を与える。子供たちが歓声を上げながら見上げ、通りすがりの観光客が足を止める。アートが都市の日常に自然に溶け込む、ひとつの理想形がここにある。