和食人気の理由を尋ねられた際、多くの人が思い浮かべるのが「ヘルシーさ」や2013年のユネスコ無形文化遺産登録でしょう。油分が少なく栄養バランスに優れた一汁三菜のスタイルは、生活習慣病予防やウェルネス志向が高まる欧米社会で高く評価されてきました。
しかし、世界的な熱狂を生んでいる要因はそれだけにとどまりません。現場の外国人客の声や市場分析からは、より多様で現代的なアプローチが見えてきます。
第一に挙げられるのが「エンターテインメントとしての食事体験」です。職人が目の前で握る寿司のおまかせ(Omakase)コースや、熱々の鉄板で焼き上げるパフォーマンス、さらにはカウンター越しに提供されるラーメンの一杯など、調理プロセスそのものがライブ感あふれるショーとして消費されています。
第二に、日本のポップカルチャーとの強力なシナジーです。海外で爆発的な人気を誇る日本のアニメやマンガには、日常的にラーメンやおにぎり、カツ丼、団子などを食べるシーンが頻繁に登場します。「推しのキャラクターが食べていたあの料理を味わってみたい」という情熱が、若年層を日本食へと駆り立てる強力な動機になっているのです。
さらに、盛り付けの美しさや季節感を映し出す器使いなど、視覚的な美しさがInstagramやTikTokといったSNS文化と極めて相性が良かった点も見逃せません。