国家への感情は、政治の場だけで作られるわけではない。パンデミック以降に加速した世界的な旅行需要の爆発は、各地で過酷なオーバーツーリズムを引き起こした。
現地住民の生活環境を脅かすマナー違反や、文化遺産への無理解は、旅先での「特定の国籍に対する悪感情」をダイレクトに増幅させている。ヨーロッパの歴史的都市や日本の観光地で発生している摩擦は、ニュースを見ない人々にもダイレクトなネガティブ体験として刻み込まれる。政治への不満が「国家」に向けられるとすれば、日常の摩擦は「国民そのもの」への直接的な拒絶を生む点において、極めて危険な兆候と言える。