土壇場の9回裏、誰もが延長タイブレークを覚悟したその瞬間、球場の空気は一変した。2点を追う展開で打席に立ったのは、今大会打撃好調の4番打者。相手エースの投じた148キロのストレートを振り抜くと、打球は右中間を真っ二つに割る鋭い放物線を描いた。
「狙っていたのは初球のまっすぐだけだった」。試合後のヒーローインタビューで、彼は汗をぬぐいながら静かに語った。極限のプレッシャー下で見せた集中力。走者2人が本塁へ生還し、土壇場での同点、そして続く打者の内野安打で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。土にまみれた背番号がグラウンドで躍動した瞬間だった。