1980年代半ば、日本のポップカルチャーがもっともエネルギーに満ちあふれていた時代。そこに現れた佐野量子は、まさに「守ってあげたくなるアイドル」の象徴だった。当時のアイドル誌やブロマイドで披露された秘蔵写真を見返すと、飾らないナチュラルな美しさと、ふんわりとした柔らかい空気感がストレートに伝わってくる。
過度な装飾に頼らず、素顔の魅力を前面に出した彼女のスタイルは、同時代の競合アイドルたちとは一線を画していた。クリっとした大きな瞳と親しみやすい笑顔。ステージ上で歌い踊る姿には、見ている者を自然と笑顔にさせる不思議な魅力を秘めていた。
楽曲面においても、彼女の存在感は際立っていた。切ないメロディラインを清涼感あふれる声で歌い上げるスタイルは、当時の音楽ファンから絶大な支持を獲得。ただ可愛いだけではない、アーティスティックなボーカル表現力が高く評価された理由である。