2026年現在のゲノム科学において最も注目を集めているのが、DNAの塩基配列そのものを変えずに遺伝子の働きを制御する「エピジェネティクス」の研究だ。かつては「親から受け継いだDNAの設計図は生涯変わらない」と考えられていたが、祖父母世代が経験した食生活、ストレス、化学物質への暴露などが、世代を超えて孫の遺伝子発現パターンに影響を与えることがわかってきた。
例えば、祖父の世代が経験した極度の栄養不足や強い環境ストレスが、数十年後の孫の代謝異常や心身の反応傾向として表出するケースが確認されている。遺伝子の「配列」そのものはスキップしていなくても、遺伝子の「ON/OFFスイッチの状態」が世代を跨いで継承されることで、結果として隔世遺伝のような現象が引き起こされるのだ。