食事の途中で会話に集中したい時やグラスを持つ際、茶碗やお椀、小鉢の上に箸を橋のように架けて置く行為を「渡し箸(わたしばし)」と呼びます。日常的に何気なくやってしまいがちな動作ですが、和食の席では代表的な「嫌い箸(忌み箸)」のひとつに数えられます。
渡し箸がタブーとされる最大の理由は、箸を器にかける行為が「もうこれ以上食事は要りません(ごちそうさま)」という意思表示になってしまう点にあります。料理を作ってくれた料理人や同席している相手に対して、「料理に満足していない」「これ以上食べたくない」という失礼なメッセージとして伝わりかねません。
さらに、渡し箸は「三途の川を渡す橋」を想起させるため縁起が悪いという民俗的な背景や、器の縁から箸が滑り落ちて汁を跳ね飛ばす実用面での危険性からも忌避されています。食事の途中で箸を休める際は、器に掛け渡すのではなく、別の方法で箸先を安定させることが必須のマナーです。