事故が起きた瞬間、最優先されるのは「全身状態の安定(止血)」と「切断された指の正しい保存」です。この初動の成否が、その後の再接着手術ができるかどうかを決定づけます。
まず負傷者本人の止血処置として、傷口に清潔なガーゼや布を厚めに当て、手で強く圧迫する直接圧迫止血法を行います。指の根元を輪ゴムや針金などで強く縛る緊縛止血は、末梢組織の壊死を招く危険があるため厳禁です。
続いて、切断された指(切断指)の保存は以下のステップを厳密に守る必要があります。
- 1. 異物の除去:泥やホコリでひどく汚れている場合、生理食塩水(手元になければ清潔な水道水)で軽く洗い流します。ゴシゴシ擦ってはいけません。
- 2. 湿潤環境の確保:生理食塩水で軽く湿らせた清潔なガーゼで切断指を優しく包みます。乾燥は組織にとって致命的です。
- 3. ビニール袋への密閉:ガーゼで包んだ切断指をチャック付きビニール袋などに入れ、水が入らないよう完全に密封します。
- 4. 氷水による間接保冷:別の容器や袋に「氷と水を1対1」の割合で入れ、その中に切断指を入れた密閉袋を浸します(約4℃の冷却状態を維持)。
現場で最もやってしまいがちな重大な誤りが、「切断指を直接氷水に入れる」「ドライアイスで凍らせる」という行為です。組織が水没すると細胞がふやけて破壊され、凍結すると組織壊死を起こして再接着が不可能になります。必ず「袋越しに冷やす(間接冷却)」を徹底してください。