映画とグラビアが社会的地位を獲得していく過程で、裁判闘争にまで発展した最高峰の事件が、大島渚監督の映画『愛のコリーダ』をめぐる猥褻図画公然陳列罪の事件だ。劇中シーンのスチール写真を収めた著書をめぐり、検察と表現者の間で壮絶な法廷バトルが繰り広げられた。
この論争は出版業界全体を巻き込み、「どこまでが芸術写真であり、どこからが猥褻物なのか」という根本的な問いを社会に突きつけた。弁護側は表現の自由とアートとしての絶対的な価値を主張し、裁判は長期化。結果として、この事件は日本の言論・表現の自由の基準を大きく広げる地ならしとなった。