言葉の起源を遡ると、1980年代初頭のアイドルブームに行き着く。歌手の松田聖子が見せた可憐な立ち振る舞いやカメラ目線の仕草を、流行語として「ぶりっ子」と呼んだのが始まりだ。当時は「女が女に嫌われる典型」として苛烈な批判の対象になることも少なくなかった。カタカナ表記が持つどこか嘘くさいニュアンスは、昭和のテレビ文化における象徴的なレッテルのひとつだった。
しかし時代が下り、個人が主役のSNSメディアがインフラとなったことで、状況は激変する。影で計算された「裏の顔」とみなされていた立ち振る舞いが、動画プラットフォームのエフェクト文化やフィルター文化と同期。見られることを前提としたプロフェッショナルな「魅せ方」として認知されるようになった。嫌悪の対象だった振る舞いは、誰もが画面越しに実践するデジタル・リアリティの基本表現へと姿を変えたのだ。