公的な統計や専門機関の研究も、この異変を明確に捉えている。厚生労働省が公表する最新の雇用動向調査を紐解くと、若年層の離職理由として「会社の将来性への不安」や「能力開発の機会不足」を挙げる割合が増加傾向にある。かつての離職要因の王道だった「人間関係」や「労働時間」を凌駕する勢いだ。
この問題の構造をいち早く提唱したのが、リクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員である。古屋氏の研究によれば、職場のホワイト化が進んだ結果、若手が成長実感を抱けずに辞めていく「ゆるい職場問題」が日本企業の構造的課題として定着しているという。労働経済学の観点からも、初期キャリアにおける適度な厳しさとサポートのバランスを欠いた企業は、優秀な人的資本を維持できないことが証明されつつある。