2010年、日本ロック史に巨大な足跡を残したゆらゆら帝国は「解散」という道を選んだ。「バンドとして完成しきってしまった」という潔い理由だった。それから16年が経過した2026年、当時の衝撃を覚えているファンも多いが、現在の彼を単なる「元ゆらゆら帝国のフロントマン」と呼ぶ者はもういない。
ソロファーストアルバム『幻とのつきあい方』で見せた、ラテンやディスコ、イージーリスニングを独自のフィルターで再構築する手腕は、作を重ねるごとに深化。バンド時代の尖鋭的なノイズやサイケデリアは影を潜め、代わりに深遠な余白とメローなポップネスが前景化してきた。過去の威光に頼ることなく、完全に新しい音楽言語をゼロから作り上げた成果がここにある。