通常は施錠され、一般の立ち入りが制限されているタワーの内部には、驚くべき昭和初期の工学技術が眠っている。直径約18メートルの円筒形躯体の中には、巨大な鋼製水槽が宙に浮くような構造で格納されている。これは水圧と自重を均等に分散させるための計算し尽くされた設計だ。
特筆すべきは、上部を覆うドーム構造と外壁の装飾性だ。厚いコンクリート壁には、幾何学的な意匠を凝らした窓枠やモールディングが施されており、産業資材でありながら美術館のような気品を放つ。内部の螺旋階段を上ると、幾重にも組み合わされた鉄骨と重厚な躯体が織りなす極限の空間美が広がる。配水塔の役割を終えた後も、一時的に警視庁の無線中継基地として活用されるなど、その強固な構造ゆえに時代を超えた役割を果たし続けてきた。