「鰍」の漢字検定における標準的な訓読みは「かじか」である。カジカ(杜父魚・鰍)は、日本全国の澄んだ川のハゼ科やカジカ科の淡水魚を指し、川底の石に張り付くように生息する。一方で、古文書や一部の地域では「どじょう」と読む例も存在する。公益財団法人日本漢字能力検定協会が発行する資料や漢検の過去問を紐解くと、この二重性が浮き彫りになる。
一般的にドジョウといえば「泥鰌」の字が有名だが、なぜ「鰍」もドジョウと読まれるのか。実は中国の古書において「鰍」は泥の中に住む魚、すなわちドジョウ類を指していた。それが日本に伝来した際、秋に旬を迎えて美味になる川魚「カジカ」に和訓として当てはめられた経緯がある。この国訓(日本独自の意味付け)の成立プロセスこそが、読み方の多様性を生んだ元凶なのだ。