「お客様が求める解像度が、以前とはまるで違います」
都内で話題の韓国ガストロノミーを牽引する若手シェフは、仕込みの手を止めることなくそう語った。以前は「赤い、辛い、チーズが伸びる」といったわかりやすいビジュアルが求められたが、現在はスープの出汁の引き方、発酵の酸味のレイヤー、器の質感までが厳しく評価される時代になったという。
ペク・ジョンウォンが提唱してきた「誰もが親しみやすい美味しさの設計」を土台に持ちつつ、そこへオートキュイジーヌの緻密さを掛け合わせる試みが、厨房のあちこちで繰り広げられている。料理人たちは現地ソウルの気鋭レストランへ定期的に足を運び、最先端の技法を貪欲に吸収し続けている。
大衆的なエネルギーを失うことなく、技術の極限を目指す。厨房から漂う張り詰めた空気感こそが、料理のクオリティを押し上げる原動力だ。