本作の魅力を語る上で欠かせないのが、名手・岡田惠和による珠玉のシナリオだ。フジテレビの看板枠である木曜劇場において、20代や30代前半の若者向け恋愛劇が主流だった時代に、40代後半から50代の葛藤を真正面から取り上げたことは極めて画期的だった。
岡田が紡ぎ出す会話劇は、徹底して生活者のリズムに寄り添っている。朝の通勤電車での些細な苛立ち、親しい友人と囲む食卓、家族とのちょっとした衝突。劇的な事件が起きなくても、人と人との対話だけでここまで物語を豊かに膨らませられることを証明した。このテレビドラマが示した温かな眼差しは、放送から年月を経た今なお、多くのクリエイターに影響を与えている。