一方、母親である羽生由美氏の献身もまた、フィギュアスケート界で語り継がれる伝説の一つだ。ジュニア時代、資金面で余裕がなかった時期には、母親自ら夜なべをして衣装を手作りし、リンクへと送り出していた。あの世界を魅了した代表演目「SEIMEI」の初期の衣装にも、由美氏の細やかな知恵と愛情が注ぎ込まれていたことは知られている。
2012年に拠点をカナダ・トロントへ移した際も、由美氏は息子と共に渡航。慣れない海外生活で喘息の持病を抱える息子のアレルギー対策や栄養管理、精神的ケアを24時間体制で担った。メインスポンサーである全日本空輸(ANA)をはじめとする支援体制が整う中でも、最前線で体調を見守り続けたのは他ならぬ母親だった。