駅から少し足を延ばすと、日本四大漆器の一つに数えられる「紀州漆器」の産地・黒江(くろえ)地区が広がる。鋸歯(ノコギリ)状に家々が並ぶ独特の街並みは、江戸時代の情緒を今に伝える貴重な景観だ。
だが今、ここで起きているのは歴史の保存だけではない。老朽化した漆器問屋の町家が、次々と現代的なギャラリー、オーガニックな食堂、クラフトショップへと生まれ変わっているのだ。伝統工芸の職人と移住してきた若手アーティストがタッグを組み、漆塗りのモダンなアクセサリーや器を提案。重厚な歴史と軽やかな感性が交差するストリートは、歩くだけで新しい発見に満ちている。