音楽小説の最高峰として真っ先に名前が挙がるのが、ピアノやオーケストラの世界を描いたクラシック音楽小説です。重厚な伝統と極限のプレッシャーが交錯するコンクールの舞台は、幾度となく歴史的傑作を生み出してきました。
その筆頭が、恩田陸氏の『蜜蜂と遠雷』です。史上初となる「直木賞」と「本屋大賞」のダブル受賞を成し遂げた本作は、若手ピアニストの登竜門となる国際ピアノコンクールを舞台に、4人のコンテスタントが繰り広げる壮絶な闘いと友情を描き切りました。文字だけでピアノの難曲を聴かせる圧倒的な筆力は文壇を震撼させ、松岡茉優氏主演による映画化でも大きな話題を呼びました。
一方、静謐な美しさで読者を包み込むのが、宮下奈都氏の『羊と鋼の森』です。ピアノの調律師という「裏方」の世界に光を当て、音を通じて世界と繋がっていく青年の成長を丹念に描写。こちらも本屋大賞を受賞し、山﨑賢人氏主演で映画化されています。ピアノ小説の傑作を探しているなら、まずこの2作を押さえて間違いありません。