ガラス張りの現代ビルが立ち並ぶ街並みの中で、赤レンガと重厚な石造りのコントラストが圧倒的な存在感を放つ。今回のプロジェクトで最も困難を極めたのは、歴史的意匠を完璧に保護しつつ、現代の厳しい耐震基準と最先端の省エネ設備を組み込む作業だったという。
改修を手掛けた建築家は「過去の職人たちが残した手仕事のグラデーションを削ぎ落とさずに、いかに2026年現在のテクノロジーを透明な形で滑り込ませるか。毎日が建築的実験の連続でした」と振り返る。解体時に発見された創建当時のタイルや照明器具も入念な修復を施され、かつての華やぎをそのまま今に伝えている。