テレビ報道の熱気が冷めやった後、この事件は思わぬ場所で第二の生命を得ることになる。2000年代後半に台頭したニコニコ動画や、それに続くYouTubeといった動画共有プラットフォームの波である。テレビ番組の録画映像から彼女の声や動作が切り抜かれ、アップテンポな音楽と合体させたMAD動画が爆発的に拡散した。
叫び声は音源素材となり、強烈なキャラクターは「インターネット・ミーム」として一人歩きを始めた。元の文脈や家庭の苦悩といった背景は完全に剥ぎ取られ、純粋なエンターテインメントや消費コンテンツとして再構築されたのだ。ネット空間における記号化と二次創作の熱狂は、現実の事件がデジタル社会でどのように歪曲され消費されていくかを示す象徴的な事件となった。