大量生産とファストファッションが席巻し、技術継承の断絶が叫ばれる現在のファッション産業において、同工房が放つ輝きは極めて異例だ。手間と時間を惜しまない手縫いの工程、一針ごとに糸のテンションを調整する職人技は、効率優先の近代的な縫製工場では決して真似のできない領域にある。
若手職人の育成にも並々ならぬ熱量を注いでいる。デジタル技術による型紙設計を柔軟に取り入れつつも、手縫いによるハ刺しやアイロンワークといった泥臭い基礎修練を決して怠らない。伝統的な職人技術を「保護されるべき過去の遺産」ではなく、「映像表現という最先端の現場で戦うための最強の武器」へと再定義したこと。これこそが、若い才能がこの工房の門を叩き続ける最大の要因だ。