「怪しい」という偏見を覆し、破綻寸前の医療現場を劇的に変革した本物のコンサルティング事例も数多く存在します。その真価は、数字の帳尻合わせではなく「医療現場のオペレーションに根ざした意識改革」にあります。
関東地方に位置する病床数240床の地域中核病院(A病院)は、年間1億2,000万円を超える慢性的な経常赤字に陥り、金融機関からの追加融資停止通告を受けていました。そこで招聘されたのが、元総合病院事務長と外資系ファーム出身者で構成された医療経営コンサルタントチームでした。
彼らが最初に着手したのは、人員削減ではなくDPCデータの徹底的な可視化と診療報酬の算定漏れ点検でした。手術後のリハビリ開始が遅れていたことで回復期への転棟が滞り、急性期一般入院料の算定基準を満たせなくなっていたボトルネックを突き止めたのです。コンサルタントは週に3回、病棟カンファレンスに直接参加し、医師、看護師、理学療法士の連携フローを再設計。早期離床プロトコルを現場と共同策定しました。
さらに、医療DX推進コンサルの実績として特筆すべきなのが、薬品・医療材料のSPD(院内物流管理)の完全クラウド自動発注化です。看護師が手書きで行っていた物品発注業務をバーコード読み取りへ刷新したことで、病棟ごとの過剰在庫が4,200万円分圧縮され、看護師1人あたり月間14時間の残業削減を達成しました。最終的にA病院は、コンサル導入から18ヶ月で病床稼働率が71%から88%へ上昇し、翌年度の決算で3,500万円の黒字化(V字回復)に成功しています。
当時の院長が病院広報誌の対談で語った言葉が、成功の本質を物語っています。
「最初は『スーツを着た連中に医療の何がわかる』と反発した。しかし彼らは白衣を着て深夜まで私たちのカルテ記載ルールや動線に付き合い、数字という客観的な鏡で自分たちの非効率を教えてくれた。経営の素人だった私に、経営者としての覚悟を植え付けてくれたのです」