トアロードを語る上で欠かせない人物が、英国人商人のアーサー・ヘスケス・グルームだ。六甲山の開拓者としても知られる彼は、明治から大正にかけて神戸の近代化と国際化に多大な貢献を果たした。居留地に住む外国人たちが安全かつ快適に山手へ移動できるよう、道路の整備や周辺インフラの確立に情熱を注いだことでも知られる。
グルームをはじめとする異国の先覚者たちが愛した景観は、100年の時を超えた今も色濃く残る。緩やかな坂道を北へ登れば、街路樹の隙間から異人館の赤い屋根が顔を覗かせる。彼らが持ち込んだ洋風の生活様式と日本伝統の美意識が交錯したことで、唯一無二のエキゾチックな街並みが完成した。