開港以来、西洋文化を貪欲に吸収してきた神戸の歴史は、長田の地において「独自のハイカラ文化」へと昇華された。気取ったレストランではなく、誰もが日常着でふらりと立ち寄れる大衆食堂の佇まいでありながら、供される一皿は一級品の神戸洋食そのものである。
薄衣をまとったビフカツ(牛カツ)にナイフを入れると、絶妙なミディアムレアの赤身が顔を覗かせる。そこに合わされるのは、牛骨や香味野菜を何週間も煮込んで濾過を繰り返した、漆黒に輝く自家製デミグラスソースだ。ほのかな苦味と重厚なコクが肉の旨味を引き立て、白米の消費を加速させる。サクサクの大きなエビフライや、肉汁が溢れ出すハンバーグが所狭しと盛られたランチプレートは、まさに大人のための贅沢なご馳走だ。