相手のちょっとした言い誤りや論理の綻びを執拗に攻め立てる人物は、一体どのような内心を抱えているのか。社会心理学の立場から分析すると、そこには「自己効力感の誇示」と「承認欲求の裏返し」が存在する。自らの立場に不安を抱える人物ほど、他者の小さな失言を指摘することで相対的に自らの優位性を誇示しようとする。いわば手軽に勝者となれるインスタントな自尊心の獲得手段なのだ。
また、対話の構造を研究するコミュニケーション学においては、この行為が会話の前提となる「協調原理」を根本から破壊するものとして捉えられている。本来、会話とは互いに意図を汲み取り合い、意味を共同で生成する作業だ。しかし、揚げ足を取る側は相手の発言の「本質」ではなく「形式的な不備」のみに焦点を絞る。これにより議論は本筋から逸脱し、生産的な対話は一瞬にして停止してしまう。